多くの課題をビジネスチャンスに変えられる可能性を秘めた長野県
シソーラス株式会社
代表取締役 荒井 雄彦 氏
長野市今回インタビューに対応していただいた荒井雄彦様。冷静で、落ち着いた雰囲気の方でした。
2019年に大阪から長野県長野市に拠点を移したシソーラス様。
移転したことによって優秀な人材の獲得、新しい分野へのマーケット開拓 、顧客との関係性の広がりといった多くのビジネスチャンスが得られたそうです。
長野県へ進出するまでの経緯
実は移転のずっと前から、弊社の経営陣の一人である私の弟が使用していたオフィスが長野駅の東口にあったんです。
ところが諸事情でこのオフィスが利用できなくなり、新しくオフィスを構える場所を探していました。
ちょうどその時から私たちのビジネスそのものも、コンサルティングからシステムの開発、アプリケーション開発といった業務をお客様から依頼されることが増え、それに伴ってメンバーを拡充していく必要がありました。
オフィス探しと事業の拡充というタイミングが重なったところで、ちょうど今の物件を借りられるというお声がけをいただき、そのままオフィスを置くことにしました。
-実は以前出張の際に現在のオフィスがある中央通りを通ったことがあり、その雰囲気に惹かれ「ここで何か始めたいな」と前々から思っていたそうです。
長野県に進出を考えた理由
長野県は短時間で東京との行き来ができ、東京からも人を呼びやすいです。
日本のビジネスの根幹でもある東京とのコミュニケーションが取りやすい、これが一つの大きな魅力ではないでしょうか。
特に長野市は県庁所在地でもありますし、マスコミ関係も集中していてビジネスとしての機能がまとまっている「コンパクトシティ」という面からも非常にビジネスのしやすい場所だと言えます。
ある程度都会としての機能が整っていて、それでいて車で30分も移動すればいわゆる田舎と言われる場所まで行くことができる。
その都会と田舎の程よい距離感とか雰囲気といったものも魅力ですね。
-都心からアクセスの良い長野県は東京から人を呼びやすく、また東京の会社が地方でビジネスを展開する拠点にも最適な環境だそうです。
長野県への進出による効果
⻑野は、東京や⼤阪などと⽐べて競合他社が少ない分、⼈材採⽤が圧倒的にしやすいというメリットがあります。
都市部はたしかに⼈も多いですが、それ以上に競合他社も多くて、優秀な⼈材が採⽤しにくい⾯がありました。
⻑野に移転したことで⼈材の採⽤やパートナーとの協業がスムーズになり、メンバーが増えたことによってビジネスへの効果は確実に出ています。
また⻑野には、私たちの強みであるITやデザインにより新たな事業を生み出せる可能性を秘めた事業者が多くいます。
そういった点でビジネスチャンスもすごく拡がったと思います。
-長野への移転によって、人材採用やマーケットの開拓がスムーズに進められるという大きなメリットが得られたそうです。
長野県はICT産業誘致に力を入れていますが、御社の事業と合致する部分はあったでしょうか?
長野県では、IT人材・IT産業の集積地を目指し、県産業イノベーション推進協議会が2019年9月に信州ITバレー構想を策定しました。
私たちのミッションの一つに、この信州ITバレー構想の実現があります。
その一環として、長野市の方とスタートアップ成長支援事業で門前町界隈から起業にチャレンジしていくような若い人たちを増やしていこう、という活動を行っています。
この街に起業家マインドを持った若い人たちがもっと集まってきて、地域の課題を自分事に捉えてくれれば、それを解決するんだという意欲によって様々なビジネスが出て育っていくと思うんです。
この中央通りもコロナの影響抜きにしても、決して賑わっているとは言えない状態です。
そういったものに対して課題意識、問題意識を持っている若い人をどれだけ増やせるか。
課題に対して、「自分自身で解決してみたい」という意欲を持った人たちが増えていくことで、そこから必然的にビジネスが生まれ、増えていく状態が信州ITバレー構想の一つの形ではないかと思います。
-2018年4月には長野県立大学が開学し、信州ITバレー構想にも積極的に参画しています。シソーラス様も長野県立大学とも密接に連携しながら様々なビジネスを展開しているそうです。
長野県には多くの課題がありますが、ビジネス面からその点についてどうお考えでしょうか?
たしかに長野は中山間比率の高さや、農業の担い手減少、過疎化など色々な課題が多い県ですが、課題が多いというのはイコールビジネスチャンスがいっぱいあるということです。
長野の課題にフォーカスしたビジネスを1個広めれば、同じ課題を抱えた地域や、アジアなどの海外の国々へグローバルにビジネスが広がる可能性もいっぱいあると思います。
そういった意味でビジネスフィールドとして、長野という地は非常に高いポテンシャルを秘めているのではないでしょうか。
-解決すべき課題も山積みの長野県ですが、言い換えれば課題解決のビジネスチャンスもたくさん眠っています。そういう意味で長野県は宝の山と言えそうです。