進出企業インタビューINTERVIEW

人材不足の解消と、地域課題解決のための新しいソリューションを
生み出せる環境を確保

凸版印刷株式会社

DXデザイン事業部 ビジネスアーキテクトセンター プロセッシングビジネス本部 ICT開発部 部長 宮竹 哲哉 氏

飯綱町

今回インタビューに対応していただいた宮竹哲哉様。インタビュー以外の些細な疑問や質問に対しても、事細やかに説明して下さる穏やかな方でした。

2020年、長野県飯綱町にある廃校を活用した施設「いいづなコネクトEAST」内にサテライトオフィス「ICT KŌBŌ™」を新設した凸版印刷様。
競合企業が多い都市部では難しかった人材の獲得ができるようになり、また地域の課題解決に向き合い新しいソリューションを生み出せる環境を得られたというメリットを実感されているそうです。

Q1

長野県へ進出するまでの経緯

飯綱町の廃校を活用した「いいづなコネクトEAST」内に開設した凸版印刷様の「ICT KŌBŌ」

弊社はシステム開発を行っているのですが、ICT系のエンジニアの不足が顕著で、なかなか東京だけでは人材を充足させることが難しいという問題がありました。

そのような中、特徴を出した形で人材採用をするために地方に拠点を設けていこう、という話が持ち上がりました。

いくつかの候補地を探す中で、弊社の別の部門が2016年にこの長野県飯綱町の廃校を利用したしごとの創業・交流拠点整備事業を行っていまして、その時のご縁で今回長野県飯綱町のこの場所をお借りしてサテライトオフィスを開設させていただいた、という経緯です。

Q2

長野県に進出を考えた理由

学校だった当時の面影を残したいいづなコネクトEAST。ICT KŌBŌは2階の一番奥にあります

長野県は教育県であり、教育水準が高いという点や、また飯綱町に隣接する長野市に信州大学工学部などの高度教育機関が集積しているという点で魅力のある場所だと考えておりました。

首都圏のアクセスという点からも、新幹線を使えば短時間で移動できますし、長野駅から飯綱町に来るときも車で40分程度なので、特に不便はありません。

サテライトオフィスを開設するにあたっては当社でも初の試みでしたので、首都圏からのアクセスが良いという点も長野県に新設する決め手の一つでした。

-東京ではICT系の人材が不足しており、凸版印刷様でも人材の確保が課題になっていたため、優秀な人材確保のため長野県飯綱町へオフィスを新設したそうです。

拠点の新設に長野県を選んだ理由は長野県の教育水準の高さと、長野市に高度教育機関が集中していてICT人材確保に適した立地だったこと、また、首都圏へのアクセスの良さもあって長野県での開設に至ったとのことです。
 

Q3

今回新設にあたって不安だった点はありますか

ICT KŌBŌのオフィスの様子。冬にお伺いしましたが非常に暖かく快適な室内でした

人材の採用や冬の寒さは進出前に懸念点として上げられていました。

今回の新設は人材採用が主な目的でしたので、人材を採用するために長野県のプロフェッショナル人材戦略拠点を活用させていただきました。

基本的には長野県の担当者の方にお任せした形で進めてさせていただきましたので、弊社に特に大きな負担はありませんでした。

冬の寒さ対策については飯綱町在住の設計士の方に依頼をして、オフィスの床から天井までしっかりと断熱工事を行いました。

-断熱工事のおかげで冬の寒さが厳しい飯綱町でも、日によっては暖房を切っても暖かいほどの保温効果が得られているそうです。
 

Q4

長野県への拠点の新設によって前向きな人材が採用でき、東京では生まれなかった新しい発想の事業展開ができているとお聞きしました

オフィスのベランダからは、飯綱の山々が一望できる素晴らしい眺望が広がっています

まず拠点の新設によって人材採用が活発化したという点が一番です。

東京だけではなかなかICT人材の確保が難しかったのですが、飯綱にオフィスを新設したことで順調に採用ができていますし、採用の母数が増えたことで、より質の高い人材の採用にもつながっています。

また地域の方とその地域の課題解決に向き合うことで、東京ではできなかった新しい取り組みができ、またそれに対してエンジニアたちも非常に前向きに取り組んでくれています。

例えば、農場の方にスマートグラスをかけていただき、それを通じて遠隔にいる方がタブレットなどでほしいりんごを選んだり、相談しながらリンゴ狩りができる「バーチャルリンゴ狩り」といった話題性のあるソリューションを生み出すことができたというのが大きな成果です。

-こうしたMade in 長野のソリューションを生み出していくこともICT KŌBŌ™の一つの目標とのことです。

Q5

拠点の新設によってコスト面で大きなプラスになった点や、新設のためのコストを軽減するために活用した行政支援についてお聞かせください

賃料などのランニングコストの面から見ても、東京と飯綱町で比較すれば、この立地は大きなプラスとなっています。

新設にかかるコストについては長野県ICT産業立地助成金を活用し、負担を軽減させていただきました。

このICT産業⽴地助成⾦で特に高付加価値事業として認められた企業は特例企業として認定いただけるのですが、弊社はその第一号として認定していただきました。

Q6

長野県への進出について、「雪」「寒さ」「東京からの距離」などがデメリットではないですか?

ICT KŌBŌ内の様子:木のぬくもりが感じられる落ち着いた雰囲気のオフィス

特に困った事やデメリットはありません。

確かに新設前は「長野県」という名前のイメージだけで雪が積もったり、寒い、遠いといったイメージがありました。

ですが実際拠点を新設してみるとこの先行イメージとは大きく異なり、例えば、飯綱町のような雪の多い地域では、道はすぐ除雪作業と塩カル散布が入り、多少雪が降っても道にはほとんど残りません。

東京のメンバーとの仕事やコミュニケーションも、リモート会議システムを活用し円滑に取れているので、距離による不便とかデメリットはほとんど感じていません。

-今後凸版印刷 ICT KŌBŌ™様ではメンバーを拡大し、そのメンバーと、地域の方の支援を頂きながらここから新しいソリューションを生み出し、世界に打って出ることを目標にされているそうです。

利用した優遇制度