長野県の持つ自然や環境のイメージでサントリーの ブランド価値を高めたい
サントリープロダクツ株式会社
工場長 澤田 元充 氏
大町市今回インタビューに対応していただいた工場長 澤田元充様。穏やかな方で、インタビュー中も終始温和な雰囲気でお答えしてくださいました。
長野県大町市に、2021年春に稼働予定の工場を新設したサントリープロダクツ様。市場のニーズに応えるため、良質な水と豊富な水量を持つ大町の地をサントリー天然水「第4の水源地」として選ばれたそうです。
長野県へ進出するまでの経緯
弊社では2010年、山梨県の白州第二工場ができたのですが、それ以降もどんどん天然水の販売量が伸びてきていまして、現状では2倍ほどになっております。
そこで新しい水源の確保が必要になり、工場を新設できる新しい土地を探しておりました。
-天然水の需要は今現在も伸びているため、工場新設によって市場への安定供給を期待しているそうです。
長野県への進出による効果
【水と生きる】をコーポレートメッセージに掲げる弊社では、⽇本全国の地下⽔を対象に学術調査を行っております。今回の候補地選びに関しては、水質等の調査結果に加えて、それを育む自然環境が敷地および上流域にあることを満たす地であることも重要で、全国数十カ所のなかで、条件が⼀番マッチしていたのがこの⼤町でした。
また、弊社のように食品や飲料水といった商品を持つ企業にとって、この長野県の持つ自然や環境といったイメージは大変相性が良く、ブランドにとっても大きなプラスになると思います。
-長野県の行政が進出企業に対して非常に協力的で理解があり、支援の相談等にも積極的に応じてくれたという点、さらに大町市は道路インフラも整っているといった点も理由に挙げられていました。
「長野県で働く」ことの魅力とは何でしょうか
長野県はどのエリアにおいても水がおいしいとか、空気が綺麗だとか、景色が良いとか自然環境が非常に豊かです。
特に都市で働いている⽅にとってこれらの⾃然環境は良いポイントになるのではないでしょうか。
企業側の⽴場としても「従業員満⾜」は重要なポイントだと思っているのですが、この⾃然環境や、都市部に⽐べると通勤時間が短くて済むといった「社員の働きやすさ」は企業にとって⼤きな魅⼒です。
-澤田様の現在の通勤時間は車で約10分、毎日信州のさわやかな空気と、目の前に広がるアルプスの景色を楽しみながら通勤されているそうです。
第4の水源地として選んだ大町の水の魅力・特徴についてお聞かせください
サントリーの各水源の水にはそれぞれ特徴があり、ミネラルバランスが異なるのでそれぞれ硬度が異なります。⼤町の⽔はミネラルが程よく⼊っていまして、口当たりや後味がよく、すっきりとした味わいです。
また、水量も非常に豊富なことが分かっておりますので、そこがこの土地の水の魅力だと思っています。
-なお、大町工場の天然水のラベルには信州北アルプス連峰と、美しい青い羽根色を持つオオルリ、夏に黄色い可憐な花を咲かせるシナノキンバイがデザインされています。
新たな工場は付加価値や環境を強く意識した工場だそうですね
今回私たちが実現したい工場というのが「次世代型の工場」、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)を追求した工場です。
このDXの推進と、ロボットを積極的に活用することで従業員の業務の付加価値を徹底的に上げていきたいと考えて工場を設計しております。
そのため、工場のレイアウトや機械の設置場所などにはかなり悩み、工夫いたしました。
-大町工場はDX化のほかにもゼロカーボンに向けた取組も非常に先進的で、徹底した省エネ設計、グリーンエネルギーの利用、CO2排出をオフセットするカ−ボンクレジットの活⽤などにより、製造⼯程におけるCO2排出量を実質的にゼロにする「CO2排出ゼロ工場」を目指しているとのことです。長野県も令和3年4月から始まる産業投資応援助成金で省エネルギー化に取り組む事業者には重点的に支援を行っていく予定です。
県、地元自治体のサポートや協働の取組についてお聞かせください
県には新設にあたっての行政手続きの相談に乗っていただいたり、行政支援活用の提案をしていただいたりと様々な面でサポートして頂きました。
大町市は昨年2020年にSDGsの認定未来都市の認定を受けられまして、それに伴って大町市主体で「みずのわプロジェクト」が発足されました。
弊社はその「マネジメント・パートナー企業」として参加させていただいており、今後色々な活動を協力してやっていきたいと思っています。
また、新設の際に国からは「地域未来投資促進税制」、県からは「信州ものづくり産業応援助成金(現在の長野県産業投資応援助成金)」、大町市からは「大町市工場等誘致振興条例」など様々な支援を活用させていただきました。
-サントリープロダクツ様では、この「みずのわプロジェクト」のほかに、森の里親協定を締結し、大町市とともに水源涵養エリアの森林の整備活動を進めていく予定です。
工場は体験型の施設になるとお聞きしました。その具体的な内容を教えていただけますでしょうか
現在、2022年春に完成予定のお客様来場施設工事も進めております。
通常、工場は物を作るだけであることが多いのですが、この工場は来場して下さったお客様にサントリー天然水というブランドを感じていただけるような「体験型の施設」にしたいと思っております。
公園として整備された敷地内はもちろん、工場内で搬送ロボットなど様々なロボットが動いたりしている様子なども見学していただけるようになります。
-今回の施設はオープンファクトリーとして集客効果も期待されています。長野県では新たな支援メニューにオープンファクトリーを対象として拡充することで地域振興に積極的な事業者を支援していく予定です。