進出企業インタビューINTERVIEW

移転拡充により、研究しやすい環境の確保と地元企業との
強い関係性を構築

日亜化学工業株式会社

常務取締役 研究開発企画管掌 横浜研究所長 諏訪技術センター長 宮崎 和人 氏

下諏訪町

今回インタビューに対応していただいた日亜化学工業 常務取締役 研究開発企画管掌 横浜研究所長 諏訪技術センター長 宮崎 和人様。落ち着いた雰囲気の方で、こちらの質問に対しとても丁寧にお答えいただきました。

Q1

長野県へ進出するまでの経緯

当社は2012年に光半導体の応用製品開発を委託していた企業の研究所と合流し、岡谷市に研究拠点を開設しました。

その後、諏訪湖周辺企業との関わりの中で先端技術を実感し、当社の研究所ももっと広い場所で行おう、拡充しようということで移転を計画いたしました。

-研究に使う機械、特に測定器は比較的大型で広いスペースが必要なのだそうです

Q2

長野県に進出を考えた理由

下諏訪町というより、元々岡谷などを含めた諏訪湖周辺の地区で探していました。

この地区を選んだ理由ですが、この諏訪湖周辺は光学や精密部品を扱う企業がたくさんあり、我々の方も新しい分野の企業と連携できる可能性があったことや、優秀な人材を集めやすいと思ったからです。

なかなか条件に合う良い土地が見つからなかったのですが、しばらくしてとある企業さんが跡地活用を検討されている、という情報を地元の銀行さんから頂きました。

その土地を実際に見に行ったところ、十分な広さ、地盤の強さ、自然環境の良さなど我々が求めていた条件が合致したことから移転拡充先に最適と考え、この土地を取得させていただくことにしました。

-移転拡充したことで、岡谷にあった頃よりも数倍広いスペースで研究を行うことができるようになったそうです。

Q3

長野県への進出による効果

1つ目は当初の予定通り、諏訪湖周辺にある多くの光学部品や精密機械産業の企業様とのかかわりの中で、当社のコア技術をより進化させることができたという点です。

2つ目に岡谷の研究所と比べてかなり広くなりましたので、研究開発の環境は良くなりました。広さ以外にも諏訪湖や山がたくさん見えるという点から研究員にとって良いロケーションなのではないでしょうか。

良い環境でお仕事していますと、良い研究成果とか良いアイディアが浮かぶと思います。

3つ目に優秀な技術屋さん、研究者も集まりやすくなりましたので、今後より一層いい開発ができるはずです。

-諏訪技術センターからは諏訪湖が一望できる絶景のロケーションです。研究員の皆さんも仕事の合間に景色を見てリフレッシュされているそうです。

Q4

移転拡充にあたって苦労した点などはございますか

移転拡充の話が上がってから色々と土地を探したのですが、広さが足りなかったり、あっても逆に広すぎるといったように自分たちが想定していた、身の丈に合った広さの土地がなかなか見つかりませんでした。

さらに広さだけではなく、建物を建てる時にはその土地の強さ、地盤の強さといった条件も重要になってきます。

ちょうどいい土地の広さ、地盤の強さ、そういった条件をすべてクリアしたこの土地に至るまでは結構苦労しました。

-移転拡張の話があってからこの土地にたどり着くまで、1年以上かかったそうです。

Q5

長野県における人材採用はどのように行っていますか

求人にあたっては地元の新聞に広告をかけたり、東京での合同企業説明会等で人を集めています。

あとは地元の高校、このあたりですと毎年秋に地元の諏訪清陵高校の学生さんにこちらに来ていただいて実際に研修に近い形で見ていただいたり、課題を出させていただいたりしています。

-諏訪清陵高校は未来を担う科学技術系人材育成のために先進的な理数教育を行う文部科学省の指定校「スーパーサイエンスハイスクール」に指定されています。長野県内にはこの他に屋代高校、飯山高校がスーパーサイエンスハイスクールに指定されているほか、国立の高等専門学校の設置など、科学技術系人材育成のための基盤強化が進んでおります。

Q6

長野県や下諏訪町などの行政支援ついてお聞かせください

国からは地方拠点強化税制による法人税の控除、県からは企業の立地促進法による不動産取得税の課税免除、市町村からは地方税法の367条の固定資産税の減免を活用させていただきました。

また、移転の際は県や下諏訪町から人材活用のアドバイスや地方税法の提案など様々なサポートを頂き、大変お世話になりました。

-このほかに、長野県ではこの度、産業投資応援助成金や本社等移転促進助成金を拡充して、企業の立地を重点的に支援しております。長野県への立地を検討される際には是非お気軽にご相談をいただき、様々なサポートをご活用ください。

Q7

地元の企業とはどのような連携を行っていますか

地元の企業様とのかかわりで言いますと、例えば当社は地元企業様に諏訪技術センターにあるラボを活用して研究開発していただくといった取り組みを行っております。

企業様に当社の設備の一部をお貸しする、その代わりに弊社の製品を使用していただくというお互いにメリットのある相互協力関係を構築しています。こういった関係を強化していくなかで光学部品、レンズなどを扱っている企業様と技術提携をしています。

-測定器は大型で高額なものも多く、どうしても導入が難しいという企業様も多いそうなので、この仕組みは日亜化学工業様にも地元の企業様にも大きなプラスになっているそうです。

Q8

今後長野県への移転を考えている企業様に一言メッセージをお願いいたします

この諏訪地域は高い技術を持った企業さんがたくさんあります。

なので、そういったところと共同でやっていくなど、そういった目的を持った会社であればこの地域への進出は非常に効果的ではないでしょうか。

-宮崎様がおっしゃられるように、長野県は加工組立型産業を中心に企業が集積しています。今後、日亜化学工業様においても光学部品や精密部品を扱う他の企業とともに連携・提携を行い、モノづくりの地としてこの地を盛り上げていきたいと考えておられるようです。